なぜ今後は1級自動車整備士が重要になるのか?自動運転時代の制度と現場を解説

なぜ今後、1級自動車整備士が重要になるのか

近年の自動車は、エンジンや足回りといった機械的な構造だけでなく、
電子制御やソフトウェアによって成り立つ存在へと大きく変化しています。

その変化に伴い、整備や車検の現場で求められる知識や判断力も、
これまで以上に高度なものになりつつあります。

こうした背景から、1級自動車整備士の重要性が改めて注目されているのです。

自動運転・電子制御が前提となる時代

現在の車両には、カメラ・レーダー・各種センサー、
そしてそれらを制御するコンピュータが多数搭載されています。

特に自動運転レベルが上がるにつれ、
「部品が付いているか」ではなく
「システム全体が正しく機能しているか」
を理解し、判断する力が求められます。

このような車両を安全に扱うためには、
個別作業の経験だけでなく、
車両全体を俯瞰して考える知識が不可欠です。

検査制度に表れた1級整備士重視の流れ

この流れは、制度改正にも明確に表れています。

国土交通省の制度改正により、
自動運転レベル3・4の自動運行装置を搭載した車両の検査を行う自動車検査員は、
2029年4月1日以降、1級自動車整備士資格を保有している者に限られる

ことが定められました。

これは、自動運転車の検査が、
従来以上に高度な電子制御やシステム理解を前提とするためです。

なお、制度の円滑な移行を目的として経過措置も設けられており、
すべての検査が直ちに1級整備士のみとなるわけではありません。

しかし中長期的には、
自動運転車の検査において1級整備士が中心的な役割を担う方向
で制度が整備されているといえるでしょう。

整備士資格制度そのものも見直しが進んでいる

検査員要件の強化と並行して、
自動車整備士資格制度そのものについても見直しが進められています。

整備作業の中心が「機械」から「電子制御」へ移行する中で、
従来の実務経験年数を重視した制度が、
現場の実態と合わなくなりつつあるという課題が指摘されています。

このため、実務経験年数の短縮や、
資格体系の整理・統合といった方向での制度改正が進められています。

これらは、資格取得を容易にするためではなく、
高度な知識を持つ整備士を早期に育成し、
将来の車両技術に対応できる体制を整える

ための動きといえるでしょう。

現場・若手・事業者それぞれにとっての意味

この流れは、さまざまな立場の人に影響を与えます。

  • 現役整備士にとっては、知識更新と役割の高度化
  • 若手やこれから目指す人にとっては、キャリアの明確化
  • 事業者にとっては、将来を見据えた人材育成

特に1級整備士は、
「すべての人が必ず取る資格」ではなく、
高度化する車両に対応するための中核人材
として位置づけられつつあります。

関連する資格や制度について

整備士資格全体の構造や役割については、
以下の記事で詳しく解説しています。


▶ 自動車整備士の資格とは?種類・できることを解説

また、車検の最終判断を担う資格については、
こちらの記事をご覧ください。


▶ 自動車検査員とは?整備士との違いと役割

自動運転技術そのものについては、
次の記事で整理しています。


▶ 自動運転レベルとは?整備・車検の視点で解説

まとめ

本記事で紹介した内容は、
自動車整備士資格、自動車検査員制度、
そして自動運転技術の進展が
相互に関係していることを示しています。

自動車技術の高度化に伴い、
整備や検査の現場に求められる役割は確実に変化しています。

1級自動車整備士は、
その変化に対応するための中心的な存在として、
今後ますます重要になるでしょう。

資格はゴールではなく、
変化に対応し続けるための基盤として捉えることが大切です。